親知らず抜歯までの流れ
-
1.メディカルインタビュー
患者様のお話をうかがい、ご希望や健康状態を確認します。
-
2.検査と診断
X線検査、歯周病検査を行って、親知らずを「抜くリスク、抜かないリスク」を評価します。必要に応じて、CT検査も行います。
-
3.治療方針の「説明と同意(インフォームドコンセント)」
親知らずを「抜くリスク、抜かないリスク」について、十分にご説明させていただき、患者様ご自身による治療方針の決定をサポートします。
-
4.感染予防のための抗菌薬内服
感染予防のため、術前に抗菌薬を内服していただくことがあります。ガイドラインに従って、第一選択薬はアモキシシリン(サワシリン®など)を使用します。βラクタム系抗菌薬アレルギーの患者様には、クリンダマイシン(ダラシン®)を使用します。
-
5.先制鎮痛
抜歯後の痛みを最小限にするために、術前に鎮痛薬を内服していただくことがあります(先制鎮痛)。副作用が少なく、安全性に優れたアセトアミノフェン(カロナール®)を1回1,000mg使用します。この用量であれば、点滴のNSAIDsに匹敵するほど有効な鎮痛効果が期待できます(村山、2009)。
-
6-1.表面麻酔
注射の麻酔による痛みを最小限にするために、以下の工夫をしています。
注射の麻酔の前に、塗り薬の麻酔(表面麻酔)をして、注射針が歯肉に入る時の痛みを最小限にします。
-
6-2.麻酔薬を37℃に保温
麻酔薬を体温と同じくらいに温めて、麻酔薬が体に入る時の痛みを最小限にします。
-
6-3.電動注射器
コンピュータ制御により、麻酔薬をゆっくり注入し、麻酔薬が歯肉に入る時の圧力をコントロールし、痛みを最小限にします。
-
6-4.超極細の注射針を使用
針外径0.26mmの『超極細の注射針(33G)』を使います。
上:当院の超極細の33G針,
下:採血で使う18G
-
7-1.最低限の切開
外科的な侵襲は最低限になるように努めます。横向きに生えている親知らずでも、歯の一部が少し見えていれば、歯肉を切らずに抜歯できることもあります(フラップレス抜歯)。
-
7-2.抜歯前のX線写真
-
7-3.抜歯後
ほとんどの親知らずの抜歯は、1分~30分で終了します。
-
7-4.細かく分割して抜歯した親知らず
-
8.止血確認
圧迫止血では止血が不十分な場合、電気メスによる電気凝固法を使用したり、酸化セルロース等の吸収性止血剤を抜歯した穴に固く詰めて縫合(タイオーバー)したりして、確実に止血します。
-
9.抜糸
傷口を縫った場合は、約1週間後に抜糸をします。